疎開中に届いた家族の手紙を中学生に見せる海老名さん=東京・台東区、2023年
林家一門のおかみさんでエッセイストの海老名香葉子さんは昨年12月24日、戦後80年を見届けるように息を引き取りました。享年92歳。1945年3月10日未明の一晩で10万人の命を奪った東京大空襲で、家族6人を失いました。まもなく81年目の“その日”がやってきます。
板倉三枝記者
8年前、「この人に聞きたい」のインタビューの折に、学童疎開中に家族から届いた手紙を見せてもらったことがあります。その数20通余り。書かれたのは44年から45年で、最後に届いたのは東京大空襲直前の母からの手紙でした。父のハガキには〈淋しく有りませんか。…淋しくなったら東京の空へお父さんと三度よんでごらんなさい〉とありました。
両親の手紙は、当時小学5年生で静岡県沼津市の親戚の家に一人疎開した娘への愛情であふれていました。海老名さんは、それを親戚や知人の家を転々とする時も、片時も離さず背中にしょって歩きました。
「私の宝物です。今でも読むと涙が出ます。親ってありがたいな、と」
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