スクープ 社会 人権・環境 経済・生活 政治 国際 お役立ち ひと・インタビュー くらし 芸能・文化 スポーツ レジャー 若者・子ども 連載 赤旗 科学 日本共産党
#日本共産党 #選挙 #レシピ #映画 #音楽 #戦後80年 #文学 #読書 #旅 #経済これって何

日曜版  |  記事

沖縄変奏曲(1)
琉球の鐘 1
作 柳広司 題字・絵 オザワミカ

メイン画像

その一
 帰ってきた。
 甲板に立った私は、目の前の光景に目を細めた。
 船が島の西側にある那覇泊(なはとまり)に入港したのは夕暮れ時。
 港から望まれる家々の淡い色の赤瓦(あかがわら)が入り日に照らされて、夢のように美しい。木々の滴(したた)る濃い緑に、魂が吸い寄せられるようだ。
 帰ってきた。
 もう一度安堵(あんど)の息とともに呟(つぶや)いたあと、私は我に返って苦笑した。
 私が最初にこの島々--琉球(りゅうきゅう)を訪れたのは、昨年の五月二十六日。わずか一年余り前の話だ。その後、この地を離れ、船であちこち回っていたので、滞在していたのはたかだか四か月ほどにすぎない。
 帰ってきた、という表現は、どう考えても的外れだ。
 しかし、と私は唇の端に苦笑を浮かべたまま、小首をかしげた。
 それにもかかわらず、目の前の景色がわたしの心に呼び覚ますのはやはり「帰ってきた」という感慨(かんがい)だった。なぜそんなことになるのか? 思案する私の視界を、大きな影が遮(さえぎ)った。
 ふりあおぐと、ペリー提督がすぐ近くに立っていた。

購読申し込み

ログインする

前の記事 次の記事

一覧へ戻る