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日曜版  |  記事

沖縄変奏曲(21)
南十字星奇譚 9
作 柳広司 題字・絵 オザワミカ

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沖縄の夜空にかかる天の川を見上げ、そんなことをあれこれ考えているうちに、おれはいつの間にかうとうとしていたようだ。この数日、朝早くから出掛け、暑いさ中、慣れない聞き取り調査に歩き回っていたので、よほど疲れていたらしい。
「……さん、シャーチョーさん! 起きてください!」
 耳元で囁(ささや)く上原君の声に、おれはハッと目が覚(さ)めた。
「シャチョーさん、あの音は……?」
 上原君は囁くような声でそう言うと、震える指で、鉄道レールが闇の中に消えていく辺りを指さした。
 目を凝らし、耳を澄ますと、奇妙な音が聞こえた。
 ケタ……ケタ、ケタ……。
 軽い笑い声に似た小さな音が、闇の奥から聞こえてくる。
 おれは隠れ場所を素早く抜け出し、鉄道レールに指先を触れた。
 カッタン、カッタン……カッタン、カッタン……。
 かすかな震動が、レールに触れた指先に伝わってきた。
 笑い声に聞こえるのは、車輪がレールの継ぎ目を通過するときの音だ。
 沖縄では夏の暑さに合わせて、レール同士の隙間(すきま)を本土より広めに取ってある。車輪がレールの継ぎ目の上を通過するさい、カタン、カタン、という震動音が発生しがちだ。気温が下がる夜はレールが冷えて縮まるので、継ぎ目が昼間より広くなる。カタン、カタン、が、カッタン、カッタン、となる。ケタ、ケタ、ケタ、と、笑い声のように聞こえなくもない。

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