沖縄の夜空にかかる天の川を見上げ、そんなことをあれこれ考えているうちに、おれはいつの間にかうとうとしていたようだ。この数日、朝早くから出掛け、暑いさ中、慣れない聞き取り調査に歩き回っていたので、よほど疲れていたらしい。
「……さん、シャーチョーさん! 起きてください!」
耳元で囁(ささや)く上原君の声に、おれはハッと目が覚(さ)めた。
「シャチョーさん、あの音は……?」
上原君は囁くような声でそう言うと、震える指で、鉄道レールが闇の中に消えていく辺りを指さした。
目を凝らし、耳を澄ますと、奇妙な音が聞こえた。
ケタ……ケタ、ケタ……。
軽い笑い声に似た小さな音が、闇の奥から聞こえてくる。
おれは隠れ場所を素早く抜け出し、鉄道レールに指先を触れた。
カッタン、カッタン……カッタン、カッタン……。
かすかな震動が、レールに触れた指先に伝わってきた。
笑い声に聞こえるのは、車輪がレールの継ぎ目を通過するときの音だ。
沖縄では夏の暑さに合わせて、レール同士の隙間(すきま)を本土より広めに取ってある。車輪がレールの継ぎ目の上を通過するさい、カタン、カタン、という震動音が発生しがちだ。気温が下がる夜はレールが冷えて縮まるので、継ぎ目が昼間より広くなる。カタン、カタン、が、カッタン、カッタン、となる。ケタ、ケタ、ケタ、と、笑い声のように聞こえなくもない。
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