絵・井桁裕子
フランスの作家、フランソワーズ・サガン(1935~2004)に「ブラームスはお好き」という小説がある。1959年の作だ。映画化された時のタイトルは「さよならをもう一度」だった。
もうひとつの「悲しみよこんにちは」も含め、サガンは僕の学生時代人気が高かった。「時おりヴァイオリンが」という戯曲には、僕も音楽を書いた(1977年劇団昴)。
ところで、ブラームスだが、クラシックの大作曲家たちのなかでは、やや地味な作曲家と言われている。前記の映画化で原作からブラームスという名前が除かれたのは、地味で堅苦しい印象を与えないように、という映画製作者の思惑だったろう。
ところが、僕のブラームス観は、まったくちがう。ブラームス本人は、支援を惜しまなかった後輩のドヴォルザークのメロディの才能を讃(たた)えて、彼が反故(ほご)にした旋律で私は1曲書くことができるだろう、とまで言ったが、これは謙遜(けんそん)しすぎだ。ブラームスは、実はすばらしいメロディメーカーである。
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