撮影・武藤奈緒美
作家の黒川博行さんが長編『流砂』を出しました。創作への思いを聞きました。
金子徹記者
新作の題材は匿名流動型犯罪、通称トクリュウです。
「やっていることはヤクザと同じ。悪質です。拠点はカンボジアとタイの国境付近が知られているけれど、最近は中南米も多いらしい」
記者にも取材
導入部の視点人物は「青木慶彦。三十三歳」と名乗る男性です。「関西 アルバイト 高額 即金」で検索し、うさんくさい話にあえて踏み込みます。
「最初は闇バイトを書こうと思っていました。ところが殺人にまで発展する匿名流動型犯罪が増え、トクリュウという言葉が流布し始めた。関連する資料を読み、新聞記者にも話を聞いたりしながら書きました」
「青木」は電話面接を経てキャッシュカードをだまし取る詐欺集団の一員に。ところが「青木」の本当の狙いは、もっと巨額の現金で…。
「ひどい話です。書きながら、日本の犯罪もギャング化していると感じました。ここまで粗暴でいいものかと、取材しながら情けなくなりました。でも、凶悪な連中は書きやすいともいえる。『なんでもあり』だから何を書いてもリアリティーがある。こいつらならやりかねないと。この本が、こうした犯罪への警鐘になればという思いもあります」
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