地震で甚大な被害を受けた熊本南病院内部=7月29日、熊本県宇城市(職員提供)
地震や災害関連死で38人が犠牲となった熊本地震(7月28日)から2カ月。最大震度7を観測した熊本県宇城市松橋(まつばせ)町の国立病院機構・熊本南病院が閉院の危機に直面しています。神経難病や地域で唯一の緩和ケア病棟を持つ拠点病院の存続・再建を求める声が患者や病院職員からあがっています。
田中智己記者
地域唯一の緩和ケア
「1階の柱は全部折れ、いつ倒壊するかわからない。ほとんど貯金もなく再建はハードルが高い」。熊本南病院の高橋毅院長は8月26日、県医師会が開いた記者会見で再建の見通しが立たないことを明らかにしました。
震度7の揺れで建物が大きく損傷し、機能を失った熊本南病院。発災後、127人の入院患者を転院・退院させました。7月29日以降は診療を休止しています。
宇城市小川町の西岡さん夫妻。呼吸器と循環器に持病を持つ夫(74)は、専門的な診療体制がある熊本南病院に長年通院していました。
地震後、片目が暗くなって見えなくなる一過性の黒内障を発症。脳梗塞の前兆ともいわれるため、脳神経内科のある熊本市の病院で受診しようとしましたが、眼科を併設していないため診療できませんでした。「南病院も眼科はないが診察してくれたはずです」と西岡さん。
「南病院に行けば何とかしてくれる安心感がある。なくなってしまったら本当に困るんです」と不安を訴えます。
妻(65)は「宇城市に緩和ケア病棟があるのは南病院だけ。私の両親や夫の母、地域の人たちの多くがお世話になってきました。存廃は私たちの世代にとって切実な問題です」
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