鄭義信さん 撮影・後藤淳
〈僕は、この町が嫌いでした〉 せりふに織り込んだ自身の少年時代
鄭義信さんの芝居は、おかしくて切ない。中でも高度経済成長期の朝鮮人集落を舞台にした「焼肉ドラゴン」は、国と時代に翻弄(ほんろう)される在日コリアンの歴史と悲哀を正面から描いた傑作です。日韓国交正常化60周年の今年、14年ぶりに日本と韓国で上演。新国立劇場中劇場での凱旋(がいせん)公演を前に、鄭さんに作品にこめた思いを聞きました。
板倉三枝記者
舞台は大阪万博に熱狂する1970年前後の関西地方都市。その片隅で焼き肉屋を営む在日コリアン一家の物語です。戦争で左腕を失った店主の龍吉(イ・ヨンソク)と妻の英順(コ・スヒ)は再婚同士です。3人の娘と一人息子は、少しずつ血がつながっていて、少しずつ血がつながっていません。そんな一家と常連客の人間模様を笑いと涙でくるんで描きます。
2008年の初演では日韓両国で圧倒的な支持を得て、数々の演劇賞を受賞しました。今回で4度目の上演です。
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