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日曜版  |  記事

沖縄変奏曲(7)
琉球の鐘 7
作 柳広司 題字・絵 オザワミカ

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事件当日。
 規則を無視して勝手に上陸したスミス、スコット両水兵は、那覇の民家に押し入り、焼酎を「押し買い」して、ひどく酔っ払っていた。二人が「まるで記憶にない」と言い張ったのは、規則違反のやましい点があったからだ。二人は酔っ払って路上に寝転がり、大鼾(おおいびき)をかいて眠っているところを保護された。
「ベッテルハイムの報告書では『二人は地元の役人に袋だたきにされた』とありましたが、事実ですか?」
 私の質問に、グラソン艦長は肩をすくめてみせた。
「二人とも体のあちこちにあざができていたのは確かだが、地元の者たちに袋だたきにあったのか、どこかにぶつけたのかは自分でも覚えていない、ということだった」
 ふむ、と私は鼻を鳴らした。報告書の書き方次第で、事件の印象はずいぶん変わってくる。もっとも、常に真実が必要なわけではない。あざ程度なら、どちらが本当なのか、あえて追求することはあるまい。
 但(ただ)し、人が死んだとなれば話は別だ。ボアード水兵の身に何が起きたのか? どうしてかれは死ななければならなかったのか? 真相を究明する必要がある。
「理由がはっきりしない死亡事件が発生した以上、留守中のトラブルはペリー提督には報告しない、という琉球府の役人との合意は、残念ながら無効にしてもらうしかありません」

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