メディア(媒体)の記者会見を遠ざけ、SNS(インターネット上の個人の投稿)へと走った末に、何が悪いの?と居直る。それが一国の首相のマトモな姿だろうか。まさかトランプ米大統領をまねているわけではあるまい。アメリカでは、大統領を褒めあげる際に「グレート・コミュニケーター」という言い方がよく使われる。大統領たる者、対話に臆することなく向き合う優れたコミュニケーション能力が不可欠だという前提があって、当然ながらマスコミから逃げずに正々堂々と論じあう姿勢が求められているのだ。私たちの国のあの方はどうか?
「幹事社1社のみ」
高市早苗首相は5月25日、中東情勢で国民生活が混乱する中で組まれた補正予算案や生活者支援策について、ぶら下がり記者会見(正式の記者会見より一段レベルが低い。実はこれ自体が問題なのだが)を行った。首相官邸側は、これに先立ち、官邸記者クラブに対して公務の多忙などを理由に「代表1社のみの質問しか受けない」と通告していた。これに対して質問を行った幹事社(テレビ朝日の女性記者)が、こう切り出した。「質問は全社で1度ということですので、幹事社の方からまとめてお聞きします」。結局この記者は計4問の質問を一気に投げかけており、よく頑張ったと評価した同業者も多かったようだ。つまり、官邸側がマスコミに不当な質問制限をしたことに対して精いっぱいの抵抗を試みたのだ、と。本当にそうなのだろうか。
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