撮影・髙橋勝視
ノンフィクション作家の梯久美子さんが、エッセー集『書くこと、生きること』を出しました。「戦争に青春を奪われた人たちのことを書いてきた」という、著作にこめた思いを聞きました。
北村隆志記者
『書くこと、生きること』は、茨木のり子、谷川俊太郎など「書く人」についての評伝、エッセー、文庫解説などを集めました。
森崎和江のこと
なかでも「最も尊敬する書き手」というのが森崎和江です。炭鉱で働いた女性たちの聞き書き『まっくら』や、海外に売春婦として売られた『からゆきさん』で知られた女性作家です。
「私は40代で作家になったものの、ものを書いて生きていくことに迷いがありました。森崎さんが炭鉱労働者から『字書いて飯食うやつは舌かみ切って死ね』と言われた、という話を新聞で読み、九州まで会いに行きました。台所に並んで立って昼ごはんを作ったことが忘れられません。雑誌の取材だったんですが、だんだん人生相談みたいになってしまって」
梯さんの「なぜ書くのか」という問いに森崎さんは「原罪意識のためだ」と答えたといいます。植民地だった朝鮮で育ち、「一人の日本人として朝鮮の人に謝りたいけれど、日本人とは何かがわからない」。だから、それを探るために書いてきたと。
「話を聞きながら、私にとって書くとはどういうことかを考えました。その後もう一度ご自宅を訪ねましたが、結局記事にしませんでした」
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