トランプ米政権が麻薬対策を理由に南米ベネズエラへの軍事的威圧を強めています。米軍は9月以降、ベネズエラ沖などで「麻薬運搬船」と見なした船を20回以上攻撃し、80人以上が殺害されています。何が起きているのでしょうか。
坂口明記者
ベネズエラ沖のカリブ海には現在、最新鋭原子力空母ジェラルド・フォードや誘導ミサイル駆逐艦9隻、強襲揚陸艦イオージマ、攻撃原潜、B52爆撃機、無人攻撃機など、1万5千人以上の米軍部隊が集結しています。
さらにトランプ大統領は10月15日、米中央情報局(CIA)によるベネズエラでの秘密工作を承認したと認めました。米側は麻薬カルテルがマドゥロ・ベネズエラ政権と結託していると主張。地上作戦と同政権打倒も検討されています。いかなる政権であれ、米国いいなりにならない政権を敵視して武力による威嚇をし、武力で打倒することは明確な国連憲章違反です。
米国が中南米を「米国の裏庭」とみなして内政干渉することは、1823年のモンロー・ドクトリン(注)発表以降、頻繁に行われてきました。1973年のチリ軍事クーデターによるアジェンデ政権打倒、83年のグレナダ侵攻、89年のパナマ侵攻などです。
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