絵・見山博
ある年の5月6日、夜の9時ごろのことであった。「アルマス」のファーブル先生のうちで、家族のみんながもう寝ようという時間に、どたんばたん、息子のポールが大騒ぎしている音が聞こえてきた。
「パパー!早く来てよ!大きな蛾(が)がいっぱい!早く、早く!」
先生がポールの部屋に行ってみると、ポールは服を半分ぬぎかけたまま、飛んだり跳ねたり、寝巻きで蛾をばたばたはたいたりしていた。
蛾はオオクジャクヤママユという、フランスで一番立派な種だ。昆虫の好きな人なら、ひどく喜ぶだろう。その、なかなか捕れない種類がたくさん、部屋中いっぱいに飛んでいるではないか。
先生にはピンと来た。そしてポールにこういった。
「服を着るんだ、研究室に行こう」
研究室に行ってみると、ここでは小さなカゴの周りに、蛾が群がっていた。
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