岩波書店・4180円
ドッペルゲンガーはもう一人の自分(分身)を意味するドイツ語である。トランプ政権で「影の大統領」と呼ばれたスティーブ・バノンに接近し、いまやMAGA運動のイデオローグに変節したもう一人のナオミの存在から、著者は現代アメリカにおけるドッペルゲンガー文化を読み解いていく。
コロナ禍を転機に伝統的右派と陰謀論者の結託という新たな政治的集合が生みだされ、彼らは左派による資本主義の構造批判を、存在しない影の政府への陰謀論的批判にすりかえ広めている。これによって現実社会の向こうにつくられた、向こうからはこちらが異常に見えてしまう厄介な「鏡の世界」が、うさぎの穴に落ちて目覚めた人々の居場所となる。
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