戦時中の日本の強制連行・強制労働は、強制労働条約違反―。国際労働機関(ILO)の条約勧告適用専門家委員会は年次報告で、この指摘を約30年前から日本政府にしています。真摯(しんし)に対応してこなかった日本政府は現在、長生炭鉱(山口県)の遺骨収容・返還の問題を突きつけられています。弁護士の戸塚悦朗さんに聞きました。
本吉真希記者
私は海底にある長生炭鉱の水没事故(1942年)の問題を知ったとき、即座にILO29号条約(強制労働条約)に違反していると思いました。条約の第21条で、地下鉱山の強制労働を禁止しているからです。日本は32年に批准しています。
条約は強制労働を「処罰の脅威の下に強要され、自ら任意に申し出たものではない一切の労務」(第2条)と定義し、その廃止を求めています。本人の意思に反して働かされたかどうかが重要で、いわゆる「自由渡航」の労働者も対象です。
長生炭鉱での労働が強制だったと言える証拠があります。水没事故の犠牲者の一人、金元達(キム・ウォンダル)さんが事故前、朝鮮にいる母親に送った手紙です。
手紙からは、被害者たちが宿舎に拘禁され、厳しい警備で逃げられない状態に置かれたこと、体調不良で休めば暴力を振るわれるなど、意に反して地下労働を強いられたことがわかります。
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