集英社新書・1034円
「ヒロシマの秘史」に迫る執念の書だ。特に焦点を当てたのは、原爆投下後の広島へ復旧と救援に向かった呉鎮守府特別陸戦隊23大隊(呉市)。当事者や遺族を訪ね歩き、学校の文集にも目を通すなど徹底的に調べた。「秘匿部隊」の実情を解き明かす労作だが、著者が父親の戦争体験を辿(たど)る「家族史」の記録としても、私は読んだ。
著者の父は島根県出身。2011年の死去後、遺品の中に「被爆関係書類綴」と題したファイルを見つける。被爆者健康手帳を取得した際の古い申述書などから、父が23大隊の一人としてどのように被爆したのか、その詳細を知った。ところが、厚労省が保管する軍歴には23大隊の文字がない。2段分の空白があるばかりで、関連する記録も乏しいことが明らかになったのだ。
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