組織や団体があまりにも劣化してくると、身内、内側から「おかしいんじゃないの」と声が上がってくるものだ。ましてや、それがマスメディアをめぐってであれば、その勇気に同業者として共感を覚えざるを得ない。
山根基世さんと言えば、NHKの歴代アナウンサーの中でも、とりわけ尊敬に値する方として内外で評価が定まっている方だ。その山根さんが古巣のNHKのニュースのありように苦言を呈しておられた。5月2日付朝日新聞のコラム「テレビ時評」で「4番目のニュースの扱いに」と題して、あの温厚な山根さんが怒っていた。武器輸出を全面解禁するという閣議決定(4月21日)のニュースの扱いが、NHKの夜のニュースで、1番手が熊の出没、2番手が前日の地震の続報、その次がイラン戦争、やっと4番手に武器輸出解禁だったことに、山根さんはいたく憤慨しておられた。武器商売で、もうける輩(やから)を僕らは「死の商人」とかつて報じていた。
同じく朝日新聞でメディア問題で健筆をふるう田玉恵美編集委員が4月25日付紙面で実に勇敢な記事を書いていたので驚いた。「放送されなかったデモ」の見出しで、これもNHKが4月8日の国会前市民デモが夜のニュースで放送直前に別のネタに差し替えられた経緯を取り上げて、田玉さん自身のNHK関係者への取材に基づき、現場に説明さえせずに直前に差し替えるのは「異様すぎないか」と強い語調で批判していた。僕自身もあの日は国会前で取材していたが、NHKもいたし民放も取材に来ていた。
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