文字読み上げ対応ページ
スクープ 社会 人権・環境 経済・生活 政治 国際 お役立ち ひと・インタビュー くらし 芸能・文化 スポーツ レジャー 若者・子ども 連載 赤旗 科学 日本共産党
#日本共産党 #高市政権 #憲法 #インタビュー #トランプ #映画 #音楽 #読書 #レシピ #風の色

日曜版  |  記事

沖縄変奏曲(11)
琉球の鐘 11
作 柳広司 題字・絵 オザワミカ

メイン画像

首をすくめて振り返ると、ペリー提督が机の上に熊のように大きな手を置いていた。
 お得意の“机への一撃”だ。
 ペリー提督は机に叩(たた)きつけた手の平をそのまま、部屋の者たちをじろりと見まわした。
「ここは琉球だ」
 威(おど)しつけるような低い声が、静まり返った部屋に響いた。
「処分は、この島の法に委ねよう。公正な裁きが行われたと信じている」
 琉球府の役人たちのあいだで、張り詰めていた空気がゆるむのがわかった。どうやら犯人として連れてこられた若者自身を含め、審理に参加した琉球側の全員が、被疑者の身柄の引き渡しや、最悪はその場で処刑されることも覚悟していたらしい。
「今回の処分については、島の責任者の名前で“七月八日付”の書面にして頂きたい。本国に戻ったら、事件の報告書を提出しなければならないのでね」
 ペリーはいくつか細かい要求を口にしたあと、言葉の調子を変え、
「婦女暴行は、アメリカ本国でも重い罪である。ボアード水兵が生きていたら厳しく処罰するところだが、当人死亡ゆえ処分なしで了解頂きたい」
 と琉球府の役人たちに向かって言った。

購読申し込み

ログインする

前の記事 次の記事

一覧へ戻る