撮影・武藤奈緒美
91歳の作家・阿刀田高さんが新著『掌(てのひら)より愛をこめて 阿刀田高さいごの小説集』を出しました。創作と時代への思いを聞きました。
金子徹記者
昨年末、各種メディアで取り上げられたエッセー集『90歳、男のひとり暮らし』に続く新刊です。前作に続き、新聞やテレビの取材が相次ぎ体調を心配すると―。
「いや、年をとるとキョウヨウが大事なので、ちょうどいいんです。教養ではなく、今日、用がある。だからキョウヨウ(笑い)。取材日はこうして各社の方がくるので、たいへんキョウヨウがある(笑い)」
国立国会図書館員を経て文筆生活に。短編の名手として知られます。1978年のデビュー以来、900編余りの短編を発表してきました。
「主観的には、似たような小説は書いていないと思っています。このごろはダメですが、ちょっと前までは自分の書いたものだけでなく、読んだ小説の筋を忘れることは、ほとんどなかった。そのくらいストーリーに愛着をもって、子どものころから小説を読んできました。言葉に関心をもつこと、そして、ストーリーが好きなこと。これは私の脳みその特徴でしょう。だれにも関心をもたれなかったし、ほめられたこともないけれど(笑い)。そういえば、近所に住んでいた松本清張さんは、自分に恵まれたのは努力する力だと語っていたそうです。なるほどそれも立派な才能ですよね」
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