イラスト・黒須高嶺
20年前、生徒の9割が女子という商業高校でミユと出会いました。3年間持ち上がりのクラス。特定の友人といつも一緒にいるというよりは、集団の中にいて静かに語らず、ほほ笑んでいる、そんな生徒。ミユが入学した年に部員がゼロになっていたボランティア部に入って、ひとりで手話を勉強していました。心の底の思いを打ち明ける相手がおらず、昼休みや放課後の保健室にやってきては、何も語らずホトホトと泣きました。
化粧をするようになり、「清楚(せいそ)」「品行方正」というイメージが変わったのは3年生になってすぐ。職員室では「授業中に寝てばかりいる」と言われ、ミユを理解しようとする教師はいませんでした。保健室には変わらずポツンとやってきて、つけまつげに縁どられた目からホトホトと涙をこぼしました。ミユの涙は卒業するまで続きました。ミユは周りの期待からそれて、本当の自分を探して、もがいているように見えました。
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