『ひめゆりの塔 生徒たちが見た沖縄戦』(汐文社)の一場面。戦場の病院での過酷な勤務によって、高熱で倒れる生徒も出てきて…
ぜひ資料館にも足運んで
くらし彩々
10代の女子生徒の沖縄戦体験を伝えてきたひめゆり平和祈念資料館(沖縄県糸満市)の姿が、絵本『ひめゆりの塔 生徒たちが見た沖縄戦』になりました。資料館の古賀徳子さんと、絵を担当したカイズケンさんに聞きました。
菅原久仁栄記者
展示室に立ち、訪れた人に戦争体験を語ってきた元ひめゆり学徒の人たちが常々感じていたのは、小さな子どもに沖縄戦のことを伝える難しさでした。カイズケンさんは、資料館のリニューアルの際、展示の絵を担当した作家の一人です。沖縄戦の複雑な状況がよりわかりやすく表現でき、絵の力を実感しています。
沖縄戦の体験者がつくり伝えてきた資料館では、当事者の目線で伝えることを一番大事に考えています。資料館には戦前の学校生活を紹介する展示があり、その中に生徒たちが先生につけたあだ名の一覧があります。なかには「クラーク・ゲーブル」というものも。口ひげが特徴のハリウッドの映画俳優です。生徒たちは、ある日突然“鬼畜米英”の宣伝を信じるようになったわけではありません。敵を憎み、戦争に勝つために国に尽くすべきだと考えるようになっていった、当時の社会や教育の恐ろしさを考えさせられます。
病院壕(ごう)のジオラマの前で「これ何なの?」「病院なの?」と言いながら中をのぞき込む若い見学者の姿をよく見かけます。展示や映像を見て、そこが、けがをした兵士たちの病院だと知り、当時の様子を想像している。資料館の展示が沖縄戦を知るための入り口になっているのです。その様子が絵本にも表現されています。
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