原田直子さん 坂野かおりさん 辻本育子さん
撮影・後藤淳
男性のメンツをつぶさず“職場の花”に、という時代 当時の常識を正面から性差別と訴えた
誰かが声あげることで世の中は動く
バブル経済真っただ中の1989年。日本初のハラスメント裁判を起こした女性たちがいました。「福岡セクシュアル・ハラスメント裁判」です。それに着想を得た映画「ファーストボイス」(監督・前田哲)が公開中です。前代未聞の裁判に挑んだ原告代理人の辻本育子元弁護士、原田直子弁護士と映画を企画した坂野かおりプロデューサーが語り合いました。
板倉三枝記者
―なぜ映画化を?
坂野 2018年2月28日のヤフーのトップニュースに原田先生のインタビューが載っていたことです。「対等に働こうとしたからこそ疎まれた」というタイトルで、福岡のセクシュアル・ハラスメント裁判の経緯を書いた記事でした。読んだ時、震えるぐらい感動しました。
「セクハラ」という言葉がはやり始めた頃、私は小学生でした。「女性のおしりを触るのはダメ」とか、軽い感じで広まっていったことを覚えています。でもその裏には、こんなたたかいがあったと知り驚きました。
性的悪評まかれて
辻本 原告の女性が相談に来られたのは、1989年に原田さんと「女性協同法律事務所」を開設して1週間もしない頃でした。「女性による女性のための法律事務所」ができたという新聞記事を見て来られたのです。
話を聞いて、これは人権侵害だと思いました。出版社の女性社員だった彼女は、一生懸命働いて周りの評価が上がっていきました。一方、評価が低かった編集長は、彼女を目障りだということで性的な悪評を振りまき、おとしめました。
坂野 働き者の女性が編集長の3分の1の給料で働いていたのに優秀すぎるから、という理由で解雇されたことに、びっくりしました。
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