住宅地のど真ん中にある米海兵隊普天間基地=沖縄県宜野湾市
1面のつづき
性犯罪事件に限らず、罪を犯した米軍関係者の日本の警察の身柄拘束率の低さの背景として指摘されているのが、日米両政府の密約です。
旧安保条約(1951年)のもとでの「日米行政協定」では、米軍関係者がどんな犯罪をしても日本の裁判で裁くことができませんでした。これに“植民地・占領下と同じだ”と批判の声が起きたため日米両政府は53年、米軍関係者による犯罪の裁判権について、「公務中」のものは米側に、「公務外」のものは日本側に優先的裁判権(第1次裁判権)がある、と改定されました。
しかしその裏で日本側は「著しく重要と考えられる事件以外については、第1次裁判権を行使するつもりがない」とする裁判権の放棄の密約を米側と交わしていました(53年10月28日の非公開議事録)。日本側は「日本国の当局がその犯人の身柄を拘束する場合は多くない」(同月22日の非公開議事録)と約束しました。
これらの密約は、国際問題研究者の故・新原昭治さんが、米国立公文書館で発見(2008年)したものです。
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