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日曜版  |  記事

沖縄変奏曲(5)
琉球の鐘 5
作 柳広司 題字・絵 オザワミカ

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改めて考えてみると、今回久しぶりにこの島に上陸して以来、妙な違和感がずっと付きまとっていた。
 私が前回上陸したとき、島の住民の多くは、琉球府の役人から「外国人とは直接話をしないように」との命令が出ているということで、耳の穴に自分の指を突っ込んで「何も聞こえない」と身振りで示しながら、顔では笑っていた。言葉は通じなくても、「こんなことをしても意味がないのだけれど、役人が言っているので仕方がない」と目で告げていた。
 ところが今回は、島の住民は私が一人で歩いているのを見ても、近寄ってくる者は誰もいない。誰一人、私と話そうとしない。目を合わそうともしない。笑顔で近づくどころか、そっぽをむいて足早に立ち去ってしまう……。
 突然、石礫(いしつぶて)が飛んできて、私の足下にはねた。
 振り返ると、道端に大きなガジュマルの樹(き)が立っていた。
 石は樹の上から飛んできたらしい。
 小さな影がいくつか、樹の上に身を潜(ひそ)めて、こちらを窺(うかが)っている気配がする。
 古いガジュマルの樹にはキジムナーという子どもの姿をした妖怪が住むという。だが、いま私に石を投げたのは、むろん妖怪などではなく、この島の子どもたちだろう。
 以前上陸したときは、島の子どもたちはみな無邪気に近寄って来た。笑顔で、意味不明の声をかけてくることはあっても、石を投げることは決してなかった。

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