いま敵基地攻撃用ミサイル配備先では住民から報復攻撃への不安の声があがっています。戦争反対の国会前集会への参加者も広がっています。戦争に抵抗し、平和を求める。憲法はそんな権利があることをうたっています。「平和のうちに生存する権利」(前文)です。平和的生存権といわれます。どんな権利なのか。自衛隊イラク派兵差し止め訴訟で「平和的生存権は具体的な権利」と認めた名古屋高裁判決(2008年)を勝ち取ったときの弁護団事務局長、川口創弁護士に聞きました。
“単なる理念”ではない
―平和的生存権とはどんな権利ですか。
当時、愛知県の航空自衛隊小牧基地を拠点にする空自部隊などが、米国主導のイラク戦争支援のためイラクに派兵されていました。それは違憲で、原告の平和的生存権の侵害だとして差し止めを求めて訴えました。名古屋高裁は空自の活動を違憲とし、平和的生存権を「権利」と認めた画期的な判決を下しました。その後、空自部隊は08年末までに撤退しました。
憲法前文には「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」とあります。これだけ明確に書かれていても、この判決まで平和的生存権は理念にすぎず、裁判所で「権利」としてほとんど認められてきませんでした。
私は、平和的生存権は憲法9条とリンクして存在すると考えています。
「平和」といってもトランプ米大統領のように軍事力を背景にした「力による平和」という考え方もあります。憲法はそうではなく、9条で戦争放棄と戦力不保持を定めています。9条に違反する政府の行為があれば、平和的生存権の侵害だとして国民が声を上げることが権利として認められているということです。
「権利」という点が大切です。
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