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日曜版  |  記事

沖縄変奏曲(6)
琉球の鐘 6
作 柳広司 題字・絵 オザワミカ

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私はネルソン軍医補に礼を言って、その場で別れた。
 次は、ベッテルハイムの報告書で名前があがっていた、スミス、スコット両水兵への聞き取り調査だ。事件当日、二人はボアードと一緒に島に上陸している。
 幸い、甲板で揃(そろ)って作業をしている二人をすぐに見つけることができた。
 ペリー提督の全権委任状を見せて話を聞いたが、二人とも、何を聞かれても、
「どうでしたかね? あのときは、何しろずいぶん酔っぱらっていましたから」
「まるで記憶にないんでさあ」
 などと、曖昧(あいまい)な、漠然とした答えをして、妙な目配せを交わしている。
 一緒に上陸したボアード水兵の当日の行動についても尋ねてみたが、
「どうだったかな? あの日、奴(やつ)は俺たちとは別行動でしたんで……なあ」
「そうともさ。奴は何か用事があるとか、言っていたよ……なあ」
 と、とぼけるばかりだ。二人が隠しごとをしているのは明らかだったが、ペリー提督の権限をもってしてもこの有り様だ。何か別の手を考えるしかない。
 次はどうしたものか、と思案しつつ艦内を探索していると、食堂に何人かの水兵が集まっているのが見えた。何げなくかれの手元を覗(のぞ)いて、私はハッとなった。
 テーブルの上に、色鮮やかな布や独特の形をした陶器が並んでいた。
 いずれも、琉球の特産物だ。

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