私はネルソン軍医補に礼を言って、その場で別れた。
次は、ベッテルハイムの報告書で名前があがっていた、スミス、スコット両水兵への聞き取り調査だ。事件当日、二人はボアードと一緒に島に上陸している。
幸い、甲板で揃(そろ)って作業をしている二人をすぐに見つけることができた。
ペリー提督の全権委任状を見せて話を聞いたが、二人とも、何を聞かれても、
「どうでしたかね? あのときは、何しろずいぶん酔っぱらっていましたから」
「まるで記憶にないんでさあ」
などと、曖昧(あいまい)な、漠然とした答えをして、妙な目配せを交わしている。
一緒に上陸したボアード水兵の当日の行動についても尋ねてみたが、
「どうだったかな? あの日、奴(やつ)は俺たちとは別行動でしたんで……なあ」
「そうともさ。奴は何か用事があるとか、言っていたよ……なあ」
と、とぼけるばかりだ。二人が隠しごとをしているのは明らかだったが、ペリー提督の権限をもってしてもこの有り様だ。何か別の手を考えるしかない。
次はどうしたものか、と思案しつつ艦内を探索していると、食堂に何人かの水兵が集まっているのが見えた。何げなくかれの手元を覗(のぞ)いて、私はハッとなった。
テーブルの上に、色鮮やかな布や独特の形をした陶器が並んでいた。
いずれも、琉球の特産物だ。
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