その二
軽便(けいべん)鉄道とは何か?
明治四十三年に公布された「軽便鉄道法」にはこう書かれている。
(軽便鉄道においては)軌間や設備など簡易なもので良し。認可を受ければ、道路上に軌道(レール)を敷設することも可能である。云々(うんぬん)。
わかったような、わからないような説明だ。要するに「国営鉄道(国鉄)より軌道の間隔が狭く、小型の機関車や車両を走らせる、簡易で安上がりな鉄道を軽便鉄道とする」という、ごく大ざっぱな定義である。
世の中では「軽便」の語が大流行(はや)りである。軽便消火器に軽便カミソリ、軽便枕に軽便椅子、軽便西洋料理といったものもあるらしい。
お手軽で便利、金のかからないものなら何でも、「軽便」をつければ新しい感じがするというわけだ。
お手軽で便利、金をかけない軽便鉄道では、速度は二の次だ。莫大な工事費用を要するトンネルや、切り通しも極力避ける。多少の谷や丘はあえて越えて行く。それが無理なら、等高線沿いにぐるりと大回りするルートを優先する。
軽便鉄道は、大規模な国家事業には不向きだが、その分、地元住民の日々の暮らしに寄り添った“お手軽で便利な”交通手段である。
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