講談社・2750円
現代の英文学者が、父親の残した記録を手掛かりに、戦中・戦後へと遡行(そこう)していく。
著者の父・克巳(かつみ)は1923年生れ。いわゆる「戦中派」にあたる。43年に海軍経理学校を卒業し、主計少尉として働いた。軍隊という官僚機構のなかの「事務屋」だが、軍艦に乗って庶務を担当したため、戦没者は多い。経理学校の出身者で41年から44年に任官した者のうち約40%が戦没している。
若き日の父親の足跡を辿(たど)る著者に付き添いながら、読者は次々に明らかになる戦場の実相や人びとの横顔を追いかける。44年に巡洋艦・利根で起きた民間人捕虜虐殺事件、クラスメートとの友情、戦場で人びとがみせる不安と焦燥と諦念が胸に迫る。
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