撮影・武藤奈緒美
作家の逢坂冬馬さんが連作短編集『その犬をください』を出しました。創作と時代への思いを聞きました。
金子徹記者
デビュー作『同志少女よ、敵を撃て』(2021年)で本屋大賞を受賞し注目の存在となった逢坂さん。新作は初の連作短編集です。
「これまで出したのは長編3本です。特に前作『ブレイクショットの軌跡』はだいぶ長い話になりました。長編ばかりでは創作の手法が更新できないので、今回は短編連作にしました」
書名のとおり、収録作の4編はいずれも犬がカギとなります。
「早くから、近代日本の転換期を描く短編集にしようという構想がありました。その切り口を考え、犬にしようと。人為的な交配で、多様な犬種がつくられてきた犬には人間の思惑が投影されています。その時代のゆがみをいや応なく背負わされてしまう存在でもある。犬が切り口ならおもしろく書けそうだし、犬と人間の歴史には自分も興味があったので」
巻頭の物語の主人公は明治期の「お雇い外国人」です。愛犬同伴で来日したイギリス人教師は、まだペットの概念がなく野犬だらけだった日本に牧羊犬などの使役犬の存在を伝えます。
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