本の泉社・2200円
被爆後の広島に降った「黒い雨」の「増田雨域」で知られる気象学者・増田善信の自伝。増田の思いを伝えてきたジャーナリスト小山美砂が、今年6月に亡くなるまでの口述をまとめた。
増田は1985年に定説「宇田雨域」の問題を被爆者に指摘され再調査を約束。膨大な文書を読み暫定版を発表した。しかしその外でも黒い雨が降ったという声を受けて現地調査に踏み出す。350人に聞き取り、89年に従来の4倍の「増田雨域」を完成させた。政府は認めなかったが、2021年に広島高裁は「増田雨域」に基づき原告全員を被爆者と認定し、政府も控訴しえなかった。
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