
長田真作さん
「隣走っていた友人が命落とした」
戦後80年を機に祖父から聞いた呉空襲の体験を基に絵本『赤い日 じいちゃんの見た戦争』を出版した広島県呉市出身の絵本作家、長田真作さん(35)。目の前で空襲が起きているような臨場感を作品に込めました。「戦争が個人にもたらした影に、しっかり目を向けてほしい」と話します。
田中智己記者
アジア太平洋戦争末期、日本海軍の拠点だった呉市は複数回にわたって米軍から激しい空襲を受けました。1945年7月1日の市街地への爆撃によって、一夜で約2000人の民間人が犠牲になりました。
長田さんの祖父・幸之助さんは、島根県五十猛村(いそたけむら、現大田市)出身で小学校の教員でした。呉の軍需工場に動員され、7月の空襲にあいました。8月6日、原子爆弾が落とされた後の広島市の救援活動にも駆り出されました。その後、命からがら歩いて島根の家に帰りました。
冗談を言わず真面目一辺倒だった幸之助さん。戦争について、語ることはほとんどありませんでした。
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