イラスト・鴨下潤
立松和平の「海の命」は、多くの教科書に長く載っている文学作品で、主人公の太一が村一番の漁師になる話です。漁師である父の死、師として仰ぐ与吉じいさの教えと死。そして父を殺した大魚クエとの対峙(たいじ)。太一の成長や父のかたきだったクエを受け入れて生きる姿を描きます。
去年、6年生の国語の授業で子どもたちと読みました。休みがちのルナは、授業にあまり出られていませんでした。それでも授業のふりかえりに「この話、伏線回収やばない!?」と一言、書きました。友だちと対等に接することが難しいルナが、かたきに対する太一の気持ちの変化を感じ取り、最後の最後に感想を書いたことに私は感動しました。作品の力と、集団で読み進めた力だと思います。
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