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日曜版  |  記事

「無言館」のうた 文 窪島誠一郎
第33回 未知の「美」の発見

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池澤賢「草原の朝」
 これは、作者が中国北辺の集落を訪ねた際の偶作の一つと思われる。
 身に纏(まと)った民族衣装が正装であるところをみると、なにか大きな祭事を終えたあとの村の長老と、その孫娘がモデルだろうか。淡い乳白色と薄鼠(うすねずみ)色との微妙なコントラスト、それにむしろ抗(あらが)うような描線で描かれた長老と孫娘の像、背面の色彩のグラデーションが巧みだ。足を組んですわり沈思黙考する老人と、あどけない表情でこちらをみつめている少女の立ち姿には、どこか人を寄せつけない神々(こうごう)しさがやどっている。
 この絵を描いた池澤賢は第一日暮里尋常小学校から東京市立第二中学校をへて東京美術学校日本画科を卒業後、渋谷神宮前で新進画家発掘の画廊をひらいた。画友石田一郎、猪飼俊一、神田禎之、黒田哲二、小林源一郎らと「成層絵画研究集団」(のちに成層美術集団と改称)や、「新壁画協会」といった名のグループを結成したり、自ら陣頭指揮をとり新壁画協会の企画で、「武蔵野母子寮付属幼稚園壁画」を共同制作したり、絵を描くこと以外でもプロデューサー的才能を発揮した。

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