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日曜版  |  記事

「無言館」のうた 文 窪島誠一郎
第34回 沖縄のコウノトリ

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近藤隆定「禿鸛(ブロンズ)」
 「無言館」は長野県上田市郊外塩田盆地の里山の頂に建つ美術館だが、展示されている戦没画学生のうち、生粋(きっすい)の上田市出身者はこの近藤隆定一人である。
 隆定は、上田市大字上田の曹洞宗大輪寺の末っ子に生まれた。大輪寺といえば、もともとは砥石(といし)城(上田市上野)の東麓にあったが、真田昌幸の上田築城にともなって、夫人の山之手殿の願いにより、現在の地に再建された寺で、今でも夫人(寒松院)の墓がのこされているという東信州でも指折りの名刹(めいさつ)である。
 しかし末っ子だった隆定は、どちらかといえば天真らんまん、寺のことにはまったく興味をしめさず、幼い頃からヒマさえあればクレヨンや鉛筆を手にし、画帖(がちょう)にむかっている絵好きな子に育った。東京の私立世田谷中学校をへて、昭和十四(一九三九)年三月東京美術学校(現・東京芸大)工芸科の鋳金(ちゅうきん)部に入学、在学中は絵だけではなく、主に動物や人物などをモチイフにした彫刻をいくつもつくった。現在「無言館」には、そうした隆定の動物彫刻の、カバとか小ブタとかミミズクといった可愛(かわい)い小品もいくつかならべられている。
 この「禿鸛」も、そんな隆定のいくつもある動物彫刻のうちの卒業制作にあたる作品だが、この彫刻だけはふだん「無言館」の館内には飾られておらず、受付奥の図書コーナーの棚にひっそりと展示されている。

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